ラ・ヴィネでも長年お付き合いさせてもらっている小さな蔵元
北ローヌのサン・ピエール・ド・ブッフ村といってもあまり聞きなれないエリアですが、ローヌ最良の白ワイン産地として名高いコンドリューから、ローヌ川沿いに車でわずか10分ほど南下したところにある静かな村です。村の中心部からさらに坂道を昇りった丘の頂上付近にあるのがオーレリアン・シャタニエ。ラ・ヴィネでも長年お付き合いさせてもらっている小さな蔵元で、独立してまだ日が浅く、かつては友人のピエール・ガイヤールのセラーを借りて醸造を行っていました。
現在もセラーも自宅を改造した小さなセラーでワイン造りを行っているため、ホームページもなければナビを使っても細かな位置がわからないほど。
「近くに着いたら電話したほうが良い」といわれてドキドキしながら向かいましたが、たまたま通りかかった家のお嬢さんがだいたいの場所を教えてくれ、その後また、通りかかった地元の方に道を尋ねたところ、なんと蔵の目の前という奇跡!予想外に問題なくたどり着くことができました(笑)。
スタンダードクラスに至るまで、その質の高さは折り紙付き
蔵を案内してくれたオーレリアン・シャタニエ氏は、非常に穏やかな雰囲気。そして聞いていたこととはいえ、蔵の醸造設備を見て、あまりの小ささにびっくり。醸造所の奥にある樽熟成庫でのテイスティングとなりましたが、これまた非常に小さく、この広さで非常に高品質な様々なラインナップを作り出していることに驚かされました。
さっそくボトリングが終わったばかりのワインをいろいろとテイスティングさせてもらいましたが、コンドリューやコート・ロティはもちろんのこと
スタンダードクラスに位置づけられるヴァン・ド・ペイに至るまで赤・白ともに、エレガントでありながら円やかさを感じさせるバランスの良い味わいに仕上がっており、改めてその品質の高さを実感。この蔵はもっと知られても良いなと思う反面、あまり有名になってほしくないような不思議な気分になりました。
あまりにも手狭なため、近々現在の醸造所からさほど離れていない場所に新しい醸造所を作る計画があるそうで、今後どのように発展していくのかも楽しみですね。
蔵元訪問後はブルゴーニュへ向かわなくてはいけなかったのですが、蔵から村の中心部へ向かう途中にも急斜面に葡萄畑が広がり、その絶景は圧巻のひとこと。その後、コンドリューやコート・ロティの有名なアンピュイの村から斜面を眺めましたが、この地におけるブドウ栽培の大変さが一目でわかるほどの急斜面でした。このように日照量に恵まれたローヌ屈指のワイン産地で、目の届く範囲で丁寧にワイン造りを続けるオーレリアン・シャタニエは、ぜひ注目していただきたい生産者です!