ワインコラム
ボージョレ
【ボージョレ地区とガメイ種について】

ボージョレ地区は世界で唯一ガメイ種のみから優れた赤ワインを造り出している素晴らしい産地です。

town04_01 【歴史】
 ボージョレの歴史は他の産地同様、カエサル率いるローマ軍によってこの地も発展していきまいた。ローマ帝国崩壊と蛮族による荒廃の後、近隣のクリュニーのような大修道院が他の栽培地と同じく、ここボージョレの地でも葡萄栽培を促進させました。修道士の残した文書には、この地方の人口がすでに多かった事に加え、土壌は花崗岩質で唯一ガメイ種の栽培に適している事が記されています。
 葡萄栽培は100年戦争、ペストの流行、大飢饉、宗教戦争やフランス革命などにより度々中断を余儀なくされました。19世紀には鉄道の開通のおかげで、フィロキセラ禍が蔓延し、ボージョレの葡萄畑も壊滅的なダメージを受けました。
 フィロキセラ禍の解決策となったアメリカ産の台木を見出したのはボージョレの出身であったヴィクトール・ピュイヤ氏。このような危機を乗り越えボージョレの葡萄畑は再び息を吹き返し、現在に至っています。
 1950年代にボージョレ・ヌーヴォーが正式にフランス政府に認められ、ビストロで人気となり、1960年代にはヌーヴォーがヨーロッパ全域へ進出し、日本へは1985年にやってきました。今ではアジア各国に輸出し、ボージョレの名は世界的に有名になっていますが、ヌーヴォーがあまりに有名すぎてクリュ・ボージョレが軽視されているのは悲しい限りです。クリュ・ボージョレについては後ほどご紹介しましょう。

town04_02 【ガメイ種】
 ガメイ種はフランスではおよそ36,400ha栽培されており、その内ボージョレでは22,500haほどを占めています。
 最近の研究では、ガメイ種の起源が今では絶滅している白葡萄品種のグエ種とピノ・ノワール種の交配種であることが確認されています。この事から1000年以上も前から品種改良があった事が伺えます。ガメイ種の優良種として質的に優れている物は2つ、「ガメイ・ロンド種」と「ガメイ・ジョフレ種」が挙げられます。今ではこの2種類が主に混植され、レベルの高いワインが多く造られるようになっています。
 ガメイ種は粘土質石灰岩の土壌では収量過多となってしまう為、ボージョレ地区のようなシストを含んだ痩せた土壌での栽培が好ましいと言われています。良質な葡萄を栽培するためには1haあたり約1万株という高い密植度で植え付け、逆に1株あたりの収量は制限しなければならないので、美味しいガメイ種を作るには厳しい剪定が必要となってきます。

town04_03 【気候】
 ボージョレ地区の年間平均気温は摂氏11.5度、全体的に温暖な気候と考えられています。ここではほとんど大西洋気候の影響下にありますが、夏の間は地中海性気候の影響も受けています。また大陸性気候の影響は、冬と春の初めの冷たく感想した北東の風によって強く感じられます。
 寒冷な年には平均気温が10度を下回る事もありますが、逆に暑い年には12度を上回る事もあります。しかし1988年以降地球の温暖化が進み、ボージョレでも平均気温は上昇し続けているといいます。

town04_04 【醸造方法】
 ボージョレ独特の醸造方法としてマセラシオン・カルボニックが上げられます。今現在、世界中で行われてる赤ワインの醸造方法は、果梗と果肉とを分け圧搾し、果汁を取り出してから果皮にふれさせて醸しを行うという手順を踏みます。ボージョレでは葡萄は必ず手積みで収穫され、果皮にキズが付かないように注意深く移動させます。そして発酵用の密閉タンクに入れられ、タンク内の葡萄の重みで底部の実の果皮は自然に裂け、果汁がたまり、発酵が始まります、この際、酵母によって葡萄の糖分はアルコールと炭酸ガスに分解され、その炭酸ガスが充満した中で発酵が続きます。この方法では葡萄のリンゴ酸はエタノールに変化し、早く消費されるタイプのワインに有利な減酸が行われ、ボージョレ特有の発酵からくるさわやかなアロマが出てくるのです。
town04_05 【格付けについて】
 ボージョレ地区の格付けとして10の地区が上げられます。この地区は他のボージョレに較べ、よりガメイ種の栽培に適しており、その特徴をうまく発揮していると言えます。高低差は190メートルから500メートルと広く、柔らかいタイプからしっかりしたタンニンの多いタイプまで、はっきりとした個性を備えています。

1.サンタムール ボージョレの北、クリュ・ボージョレの最北端に位置する。「聖なる愛」という名前の素敵なお酒。軽いスミレの芳香があり、タンニンも控えめ。早飲みされる事が多いのですが、2年~3年は寝かせておく事もできるワインです。

2.ジュリエナ 北部の4つの集落にまたがって存在するフランスでは知名度の高いクリュ・ボージョレ。ジュリエナは比較的たくましいワインを生み、レッドチェリーやラズベリー、プラムなどの濃さのあるしっかりした骨格のあるタイプが多く生産されています。

3.ムーラン・ナ・ヴァン クリュ・ボージョレの中で最も有名な銘柄。ワインも完璧なものが造られており、ボージョレの王様と呼ばれています。木苺、カシス、ブラックチェリーなど、赤い果実の風味豊かで胡椒やカンゾウなどのスパイスの芳香も際立っており、年と造り手によっては長く寝かせる事のできる長期熟成型の物もあります。

4.シェナ この地区でも素晴らしいボージョレが造られておりますが、隣のムーラン・ナ・ヴァンとして販売する事も許されている為、滅多にお目に掛かれない。アロマは複雑で果実味やアイリス、スミレの香り、そこにスパイシーさも兼ね備えているのでレベルの高い印象。

5.フルーリー フルーリーの畑は標高220メートルから430メートルと幅が広く、南東と北西向きの斜面からとてもエレガントでつややかなワインを生み出しています。赤系統の果実のアロマが主体でバラやボタンのような花の香りも特徴的。

6.シルーブル シルーブルはクリュ・ボージョレの中で最も女性的と言われています。比較的高い350メートルから400メートルに位置し、南東から南西に向いた均整のとれた丘陵の急斜面に広がっています。プラムやサクランボのような果実も感じられ、とても香り高いワイン。

7.モルゴン 標高352メートルにあるピイの丘は、東方に傾いたなだらかな斜面に広がる葡萄畑を見下ろし、そこにはまさにモルゴンの特徴を持たせるシストが変質し分解した「ロシュ・プリ(直訳:腐った岩)」と呼ばれる土壌が広がっています。モルゴンのこの土壌はこの地区特有のもので、とてもしっかりした果実の香りにクルミや桃、アンズ、シナモンなどの複雑さを兼ね備え、とても豊かでコクのあるスタイルに仕上がっている事が多い。ボージョレで一番うまく熟成する力と可能性のある。樽熟成させた1部のキュヴェはよりモルゴンらしいしっかりしたワインになっています。

8.レニエ クリュ・ボージョレの中では最も新しく認められた地区で、レニエ・デュレットただひとつの集落周辺に広がり、大きな高低差を占める葡萄畑によってその景観は際立っています。標高22メートル付近から500メートルの高さにまで広がっている地区で、水はけの良いピンク色の花崗岩の砂で構成されています。紫がかった赤いサクランボの色調で、赤い果実と桃のアロマを持っています。熟成させるには限界はあるようですが、新酒としてリリースされる事の多い地区ですので若い内に飲むのがお薦め。

9.ブルイィ コート・ド・ブルイィが広がる丘を囲んでいる地区。酸性の痩せた土壌で生き生きとしたガーネット色で、サクランボやブルーベリーの酸味と若干コーヒーの香りがするなど、バランスの良く取れたタイプが多く見られます。4~5年は熟成に耐えるタイプ。

10.コート・ド・ブルイィ 標高484メートルにあるブルイィの丘にある地区。澄んだガーネットの強い色合いで、ブラックチェリーやスパイスのアロマが印象的。タンニンは少なく、とても滑らかで余韻も長い。比較的熟成に向いたワインです。

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