ワインコラム
葡萄の1年間
北半球では9月~10月、南半球では2月~3月に葡萄の収穫が行われています。しかし収穫までの葡萄の育成には1年を通じたさまざまな管理や作業が必要となります。この際の手間のかけ方が、出来上がるワインの品質に与える影響は大きく、年間通した気温、雨の量などと合わせてその年のワインの美味しさを左右するといってもいいでしょう。
そんな葡萄の1年のサイクルを、実際の畑での作業と合わせてご紹介します。
1月~2月
(休眠と剪定)
寒い冬の間、葡萄の樹の根は活動を休止し、休眠期に入ります。根から枝へ、水分を引き上げる事はなく、枝は枯れた状態に見えます。新年を迎えると昨年実をつけた後の枝の中から、良い芽を持っていると思われる枝を数本残し、他の枝は全て切り落とします。これを剪定と言います。
3月
(揚水期、誘引)
気温が10℃を超えると、葡萄の樹は根から水分を吸い上げ始めます。吸い上げた水分が、剪定された枝の先端に滴となってあらわれ、枯れたようになっていた枝は水分を含み、柔らかさを取り戻すようになります。そしてしなやかになった枝を折り曲げ、張ったワイヤーに結びつける工程を誘引と言います。
4月
(萌芽期)
葡萄の樹は春になり暖かくなると、枝にある芽が膨らみ始め、新芽が伸び出してきます。新芽は新しい枝や葉、つぼみ、巻きひげなどを備えており、気温の上昇とともに目を見張るような速さで伸びていきます。
5月
(芽かき)
新芽が5~10cmほどに生長すると、より良い葡萄の房を得る為に、状態のいい新芽を選別し、他の新芽を落とします。これを芽かきと言います。この時期に寒波や遅霜などが発生すると、新芽の生長に弊害が生じ、葡萄の収量に悪影響となります。
6月
(開花と結実)
新芽の生長とともに、枝も固いつぼみを無数に付けて大きくなり、6月頃に開花を迎えます。葡萄の花は1mmほどで白色をし、開花と同時に花びらが落ちます。そして自家受粉により受精します。この後小さな実を結びます。
7月~8月
(摘心と適房)
気温の上昇とともに葡萄の樹の生長は目覚しくなり、枝の先端は1日に3cm近くも伸び葉も大いに繁るようになります。しかし、枝の生長に勢いがありすぎると葡萄樹の生長エネルギーが枝の先端に集中する為、果実の方に十分な栄養分が行き渡らなくなります。また、枝が長く伸びた状態で放置しておくと、繁った枝や葉が幾重にも重なり、果実の上に覆い被さるようになります。そうなると太陽光が果実に届かないばかりか、風通しの悪さから病気の発生原因ともなります。これを防ぐ為に夏場の成長期に数回、伸びている枝の先端を切り落としたり、果実の周辺の一部の葉を摘む作業を行います。これを摘心と言います。この頃になると小さく硬かった葡萄の果実は少しずつ大きくなり、葡萄の房らしくなってきます。濃く旨味の多いワインにするには1本の樹にある葡萄の房から、半分、または3分の2までの数を切り落とし、残った葡萄の房に栄養分を集中させるようにします。これを適房と言います。
9月
(色づき、成熟期)
秋が近づくと果実は成熟期を迎えます。それまで硬く緑色をしていた果実に、白葡萄では緑色に黄色味が混ざり始めます。黒葡萄では果実1粒1粒に紫がかった色が見え始め、やがて房全体へと波及していきます。それぞれの果実の内部では糖分が除々に増える反面、酸度がゆっくりと低下し始めます。また、この時期に品種特有の個性が備わってきます。
10月
(収穫)
ワインとして必要な果実の糖分と酸度のバランスが取れると、いよいよ収穫です。収穫時期の決定はその年の葡萄の育成状況と天候状況により変動しますが、花が咲いてから収穫までに要する日数は品種や生産地によってまちまちですが100日~120日。収穫した葡萄は腐敗果や病気を取り除く選別、または選果という作業を行います。
11月~12月
(落葉、休眠)
収穫を終えた葡萄の樹は、次第に葉が黄色や紅色に色づき、やがて落葉し、枝だけが残った状態になります。冬を迎えると根は活動を休止し、休眠期に入ります。 寒冷地では冬の寒さから葡萄の樹を守る為、樹の根元に土や藁をかぶせる事があります。
↑ページTopへ