ワインコラム
スクリューキャップ
以前はスクリューキャップのワインといえば"安ワイン"のレッテルを貼られていました。しかし近年、オーストラリアやニュージーランド等のニューワールドを中心に、最高級のワインにもスクリューキャップを使用する生産者が増えてきました。

スクリューキャップを使用する理由はいくつかあるようですが、まず1つ目はコルク臭の問題です。コルク栓はコルク樫の樹皮から作る自然素材なので、品質にバラつきがあります。特に質の低いコルクは、加工作業中にトリクロロアニソール(以下TCA)という科学物質が発生する可能性を含んでいます。このTCAが発生すると特有の不快臭(カビ臭)がワインについてしまい、どんな高級ワインであっても台無しになってしまいます。これをブショネと呼びます。ある統計では、ブショネの割合はコルク栓を使用しているワイン全体で4~5%ともいわれており、生産者側としては看過できない非常に大きなリスクとなっています。一方スクリューキャップであれば、ブショネの危険性はほぼゼロに等しいといわれています。

2つ目は、近年消費者の求めるワインの傾向が早飲みスタイルのものになってきているということです。コルク栓は数十年に亘って高い気密性を維持し続けますが、現在市場に出回っているワインの多くは、リリース後3~4年の間に消費されます。スクリューキャップの寿命はコルク栓より短く10年程ともいわれていますが、単純な機密性の高さならばコルク栓より勝る為、長期の熟成を目的としない場合はコスト面から考えてもスクリューキャップを採用した方が良いとの見方があります。
さらには、近年高まりを見せる自然環境を考えたエコ活動の一環として、という考え方もあります。コルク栓の原材料は天然資源の樹木である為、減少の一途を辿っているコルク樫の森を守ろうという動きが各地で広まっています。コルクの主要産地であるスペインやポルトガルに加え、フランスやイタリアの一部の生産者もこの活動に賛同しているようです。

長い間品質を保持できるのならばコルク臭の危険が無いスクリューキャップの方が良いとの考えもあれば、スクリューキャップでは微量な酸素と接触が無い為熟成がうまく進まないという見方もあります。それに伴いここ20年程の間に、コルクとスクリューキャップの双方で栓をし、一定の期間ごとに状態を確認する等の研究が進められています。ちなみに現在までの研究結果からすると、スクリューキャップの性能の方がやや優れているようです。しかしこれらの研究自体まだ行われて間もない為、20年を越える長期熟成を経た場合の結果については、しばらく時間が必要となります。

ワインには絶対にコルクしか使わないという造り手も多いようですが、一部のワインに関してはスクリューキャップを使用してもよいと考えているものもおり、これからはフランスのワインもスクリューキャップが増えていくかもしれません。

ワインファンである我々は、それを見守りつつも、味わいの違いを真摯に感じとり、またその変遷を楽しんでいくべきなのでしょう。
ただしワインに携わっている者からすれば、徐々にコルクを抜いていく際の期待に胸が膨らむような感覚や、一種の儀式のように厳かかつ華麗にコルク栓を抜いていくソムリエの姿が無くなるのであれば、それはそれで残念に思いますが・・・。
↑ページTopへ