ワインコラム
ワインの熟成
 店頭での接客中にお客様よりよく尋ねられることと致しまして、ワインと料理の相性と共に、熟成に関する話題があげられます。 ワインと料理との相性については雑誌やテレビなど様々なメディアで日夜語られていますが、熟成についての知識は意外と知られていないものです。 そこで大まかにではありますが、ワインの熟成について取り上げてみたいと思います。
 一般的に熟成とは、発酵直後のワインにみられる粗さが時を経ると共に徐々にとれていき、滑らかで複雑な風味に変化することを指します。若いうちは過剰なほどの渋みを感じたワインが、何年か後に飲んだときには驚くほど円やかな味わいになっていたという体験をされた方も多々いらっしゃるのではないでしょうか。 このような変化には酸素が関係しており、大雑把なメカニズムとしては以下の通りです。
 果皮に含まれるアントシアン類色素や、種子・果梗に多いタンニンといったフェノールは、酸素の影響を受けて結合しあい、やがて澱とし析出します。これによりアントシアンやタンニンの量が減り、結果としてワインの色調は薄くなり味わいも滑らかに変化するのです。 また香りの面でも、ブドウ由来の第一アロマと発酵由来の第二アロマが互いに影響しあい、ブーケと呼ばれる複雑なアロマ(俗に言う第三アロマ)を形成するに至ります。
 ワインの熟成に関わる要因はいくつか存在し、それにより熟成の速度は異なります。 酸やタンニン、糖分といったワインの成分の他に、温度・湿度などの保存環境やといったものも代表的な要因としてあげられます。なかでも保存環境を整えることは、正常な熟成を進める上で欠かせません。
 ボルドーでは1960年代以前は各シャトーやネゴシアンが多くのストックワインを抱え、飲み頃が来るまで熟成させてから出荷していました。しかし現在は資金的理由から、樽熟成中のワインを先物販売することが一般化しています。このため、ワインは瓶詰め後すぐに顧客へと出荷されていきます。この動きは、熟成が必要とされる高級ワインにおいてより顕著です。ですからこのような所謂グランヴァンといわれるクラスのヴィンテージワインは、保存状態があきらかなものを購入することをお薦め致します。
ワインの熟成  ワインを熟成させるという行為は、ガラス瓶とコルクが普及した18世紀以降に広まったことです。人々は特定のワインに限りボトルで保存することによって、品質が向上していることに気づいたのです。このことからも解るように、すべてのワインが熟成により品質が向上するわけではありません。現在市場に流通しているワインの90%以上は、すぐに消費されるべきスタイルのものであると言われています。
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