ワインコラム
自然派ワインについて
 【ビオワインとは?】
  ・【ビオ・ロジック】
  ・【リュット・レゾネ】
  ・【ビオディナミ】
 【主なビオの認証機関とそのマーク】
  ・【ウニア】
  ・【アグリクルチュール・ビオロジック】
  ・【ナチュール・エン・プログレス】
  ・【エコセール】
  ・【デメター】
 【ビオワインの楽しみ方】
 【主なビオワインの特徴として】
  ・【色合いや濁り】
  ・【味わいや香り】
  ・【二日酔い】
  ・【長い寿命】

 
自然派ワインについて

 今回はワインファンの方々であれば避けては通れなくなってきている有機栽培葡萄を使ったワイン、いわゆる"ビオワイン"について書いていきたいと思います。
【ビオワインとは?】
 有機栽培ワイン、有機ワイン、オーガニックワイン、ビオワインなど、さまざまな呼ばれ方をしていますが、要は"有機栽培の認証組織によって認定された有機栽培葡萄"を使って造られたワインの事になります。
bio1  1900年代前半から、農作物の安定供給やビジネスを優先させた結果、農薬や化学肥料が多く使われるようになりました。そしてその影響は土の中に生きている小動物、昆虫、微生物の生態系を狂わし、少しずつ土壌そのものの活力を失わせていきました。農家の人達や消費者の健康障害をも引き起こすようになり、年々見直されつつあり、農作物を自然に育てる大切さを学んだ人達が、いくつかの認証組織を設立し、現在に至っています。
 自然の生態系を壊さぬよう、化学肥料や殺虫剤、除草剤を一切使用せず、様々な微生物や虫、土を耕してくれるミミズ、自然な受粉を手伝ってくれる蝶や蜂のいる自然な畑を作り、様々な植物の生える畑で"健康"で"安全"な植物を育てようという考え方の基、このような組織が運営されています。
 認証の基準は細かい所では多少の差異もありますが、基本は「最低3年間」「無農薬」「無化学肥料」「無除草剤」を貫くという3点にあります。 尚、「無農薬」とはいうものの、ほとんどの機関がボルドー液(硫酸銅と生石灰の混合液)と硫黄については、例外として使用を認めていますが、その使用量は極端に少ないもので、作柄によっては一切使用されないことがあります。
パトリック・デュクルノーの畑 ※南西地方にあるパトリック・デュクルノーの畑。あたりは緑に囲まれており、そこに住む虫達(害虫の天敵)が畑を守っています。
bio2  葡萄の樹は、厳しい土地であればあるほど頑張って根を伸ばし、時に10メートルを超える深さまで栄養を探しに行きます。そして地中のさまざまな地層から大地の栄養を吸い上げ、それが葡萄の味、個性となります。化学肥料を使うとどうでしょう?

 葡萄の樹は地表に栄養があるものですから、根を地中に伸ばさず頑張る事をやめてしまいます。すると大地からの栄養は得られず、土地の特徴の無い平凡な味わいの葡萄になってしまうのです。平凡な葡萄を使えば平凡なワインしかできないのは当たり前。そのような事もあり、今は多くの生産者が化学肥料をやめ、有機栽培に切り替えているようです。

 除草剤を使わずに草を自然に生やす事で、害虫の天敵である虫達の住む場所が増え、畑を守ってくれるといわれています。ですからそういった良い虫が住みやすい環境を作るのも、ビオ生産者の仕事であると言えます。
 70年代から有機栽培を実践している生産者というのは極稀で、主に有機栽培に取り組み始めたのが多いのは90年代。これにはブルゴーニュの「ルロワ」「ルフレーヴ」「コント・ラフォン」やボルドーの「スミス・オー・ラフィット」などの著名な生産者がこぞって"ビオディナミ"に取り組み始めた事が大きな要因と考えられています。
 彼等のワインには土地の個性があり濃密で、天候に恵まれなかった年でも大きくバランスが崩れる事がない卓越したものが多く、それを他の生産者達も真似し始めたのです。
以下、代表的な3つをまとめてみました。

【ビオ・ロジック】
 「無農薬」「無化学肥料」「無除草剤」であれば、ビオ・ロジック(有機農法)と呼ばれています。簡単にビオ・ロジックといっても病気や害虫に対して無抵抗なわけではありません。アブラムシにはテントウ虫で対抗したり、葡萄の樹と葡萄の樹の間に害虫の好きな花壇を作り、葡萄の樹に近寄らせない、病気の進行の早いバラの花を植え、その土地の健康状態がすぐわかるようにするなど、16世紀~17世紀に行われていた昔ながらの方法をとっている生産者も多くいます。

【リュット・レゾネ】
 ややこしく難しいのはこの"減農薬"。いわゆるリュット・レゾネ(減農薬農法)と呼ばれる造り。この"減農薬"という言葉には厳密な定義がなく、毎年の平均した農薬の量よりも少なくすれば減農薬となってしまったりしているので、消費者の目からはとてもわかり辛いのです。
 しかし中には真面目に有機栽培に取り組んでいる生産者もおり、そのような生産者は農薬でしか追い払えない害虫や病気の時のみ、やむを得ず農薬を使用したりしています。このような造り手を知るには、自分で調べたり、ワインを売っているお店の人に聞き、頭で覚えるしか今のところ方法はなさそうです。最近ではこの減農薬を資格化した認証団体も出来てきているようです。

【ビオディナミ】
 もう1つ、有機栽培の最右翼ビオディナミ(自然農法)と呼ばれる栽培方法。これは比較的日本では知られる「デメーテル」という機関が認証しているもので、英語ではバイオ・ダイナミックス、日本では自然農法で知られています。
 この農法はオーストリアの神秘思想の哲学者、ルドルフ・シュタイナーが考案した方法で、ビオの中で最も厳密で厳しい農法。
 単に「無農薬」「無化学肥料」「無除草剤」というだけでなく、月や天体の動きに合わせて農作業を行ったり、牝牛の角に牛糞と水晶の砕いた粉(砕き方や混ぜ方にもにも細かい決まりがある)を入れた物を土の中で冬を越させ、春に撒いて葡萄の栄養(葡萄の樹の力を増幅させる力があると言われている)にしたり。茂ってほしくない雑草の種子を燃やし、その灰を撒いて雑草を排除したり。羊の内臓に雨水と花を入れた物を庭先に吊るし、3ヶ月経ったものを農薬の変わりに撒いたり・・・と、細かく書くと魔法のような話になってしまうのですが、動物や植物から自然の肥料や薬(これらはプレパラシオンと呼ばれています)を作る農法であり、地球に優しい農業である事に異論はないでしょう。"まだ電気の無かった頃の時代に行っていた農業"という解釈でかまわないと思います。

【主なビオの認証機関とそのマーク】
ウニア ウニア
フランスにおいて、ワイン生産に関わる有機栽培農家、ワイナリー、小売業者からなる共同体が有機栽培ワインの製造工程について明確な定義を定め、有機栽培ワインの認定に力を注いでいる機関。
アグリクルチュール・ビオロジック アグリクルチュール・ビオロジック
フランス政府が1981年に指針を制定し、1985年以来国家によるオーガニックの認定としてこのロゴが使われています。オーガニック材料を95%以上含み、EU圏内で生産あるいは、加工されたものに限られています。
ナチュール・エン・プログレス ナチュール・エン・プログレ
フランスで会員数1400名を越えるもっとも大きなオーガニック組織。安全で安心を求める消費者の主導により安全な食品運動が起こり、農業従事者を中心に結成された自然農法団体です。オーガニック食品のメーカーでもあり、消費者も参加できる広い組織として知られ、農場訪問展示会やシンポジュームを開き、第三世界における有機農業運動も積極的進めている非常に行動派の組織です。
エコセール エコセール
1991年にフランス農務省が有機栽培食品を認可する目的で設立。ここで認定を受けている物は、栽培から、その物から加工される商品の製造過程の添加物まで厳密な管理と監視が行われています。また放射物使用、遺伝子学的な操作や組み替え産品は認定しません。EU、IFOAM基準。フランスのトゥールーズに本拠をおき、ヨーロッパを中心として世界85ヶ国以上で活動し、40,000もの有機栽培業者が登録している世界最大の国際有機認定機関。オーガニック認証団体の世界基準ともいわれています。
デメター デメター
ドイツを中心にルドルフ・シュタイナー博士の農業講座の生力学的自然農法(ビオディナミ、あるいはバイオダイナミック農法)実践をしている団体。シンボルマークは結婚と豊穣の女神「デメター」を表しています。1927年にデメター加工組合が設立され、1946年バイオダイナミック農法研究会が発足、デメター品質保証のための基準書が作られました。これは世界でもっとも古い基準として知られています。その後、1954年にはデメター協会(連盟)が設立され、マークの管理と品質保証の実施を開始し始めました。BIO-DYNAMIC(ビオディナミ、生力学的自然農法)の商品を表す言葉として使用できるのは、ルドルフ・シュタイナー博士の偉業に敬意を払い、このデメターのみに限られています。
bio3  ただし、これらの機関が認証するのは、あくまでも「農産物」としての葡萄であり、葡萄を加工した「ワイン」ではありません。その為、すべてのワインに認証マークが貼られているわけではなく、単に有機肥料を使っているだけだったり、減農薬程度にすぎないワインに勝手に"ビオ"の表示をしているワインもあり、区別が極めてつきにくいものもあります。
 また、上記の認証期間に加入するには多大なお金がかかる為、それに反発して認証を受けない生産者も多くいますし、このような機関ができる前から独自に有機栽培を実践していた生産者などはビオワインである事を公にしていないこともあります。
ドメーヌ・デュ・クランピルの畑 ※マディランにあるドメーヌ・デュ・クランピルの畑。認証は受けていないが、昔から有機栽培を続けている蔵元。間違いなくこの地区最高の生産者の1人。

【ビオワインの楽しみ方】
 品種や造り方は様々ですが、高いレベルに達するには細心の注意が必要です。ほとんど亜硫酸を添加しないワインは、樽、瓶、コルクに至るまで健全でクリーンな状態にしておかなければ、たちまち細菌や微生物が繁殖し、ワインにビオ臭と呼ばれる不快とも思われる香りを付けてしまいます。このビオ臭が「ビオワインは美味しくない」という固定概念を消費者に植え付けてしまっているようですが、この香りはある意味ビオ特有の香りであり、決して悪い物ではありません。実際そのようなワインは小1時間ほど放っておけば不快なビオ臭は消え、そこから複雑で凝縮された果実味が生まれてくるのです。
 亜硫酸というのは醸造過程で葡萄から少量出る物でありますが、樽醗酵の段階や瓶詰めする際、そこにどのくらい亜硫酸を加えるかで味わいに変化が生まれます。ビオであってもまったく加えない生産者は極稀なので、ビオワインと亜硫酸無添加ワインは別ものだと言えます。信仰的なビオの生産者達は別の国に輸出する際、自然の味わいのまま世界中の人に味わってもらいたいと亜硫酸の使用を最低限に抑えています。
 亜硫酸の添加が多ければ多いほど、果実味をくっきりと出すメリットがあり、味わい的にはわかりやすいものになります。ですから亜硫酸を最小限に抑えているビオワインは開けたてのものの香りや味わいがやや弱い印象があります。そして「ビオ臭」などと呼ばれる独特な風味が際立って付いている場合は、さらに香りが開くまでにかなりの時間がかかります。
さて、ビオ臭がついてしまっている場合はどうすればよいのでしょうか?
 答えは「デカンタージュする」です。
 デカンタージュし、空気に触れさせておけばこのビオ臭は消え、美味しく飲めるものになります。根っからのビオディナミスト(ビオディナミの生産者)のワインを飲む時はこの点を注意してみてください。もしデカンターが無ければ、1~2時間程前に抜栓し、空気に触れさせておくのがよいでしょう。
中には造りも保存状態もよく飲みやすいビオワインもありますが、その本当のポテンシャルを知るにはやはりデカンタージュするか、ゆっくりと楽しまれる事をお薦めします。奥行きのある本当の味わいに驚くはずです。
 もう1つ、ビオワインを楽しむためには絶対に注意しておかなければいけない事があります。それは暑さです。通常のワインもそうですが、ビオはよりデリケートにできていますので、温度変化に敏感です。ビオワインの限界温度は25度程度と言われています。30度を越える夏の暑い時期、1時間も2時間も持って帰るのは致命的!お店からクール便で送ってもらうか、早めにセラーにしまうようにしましょう。

 当店ではセラーの温度を14度~15度に設定しています。外気との気温差があまりにも大きいと、中の空気が膨張しワインが吹き出してしまう場合がありますので、美味しく健康的に味わうために扱いにも気をつけてください。
 現在フランスでは、北のアルザス、シャンパーニュから、南西地方、プロヴァンスまで、フランス各地で数多くの有機栽培の生産者達が活躍しています。ジュラやラングドックのような聞きなれない産地にさえすばらしいワインが産まれています。例えば代表的な白ワイン品種であるソーヴィニョン・ブラン、シュナン・ブランは、シャルドネ人気のおかげで未だに影の薄い存在です。青臭いとか、酸味が強いとか、薄いなど、悪口を言われることも多いのですが、ロワールの優れたビオの造り手によるワインはエキス分が凝縮され、それでいて繊細な味わいがあります。味を比べてみても楽しいですね。

【主なビオワインの特徴として】

【色合いや濁り】
 無理な色素抽出をしないため、淡い色合いの物があります。色が濃いワインだけがエキスが濃いと考える人は多いようですが、通常のワインと異なり、たとえ色が薄くても、口に含むと驚くほど凝縮されたエキスが感じられるものが多い印象。
 ビオワインは、ブドウが本来育まれていた自然の恵みを残そうと、濾過機を通さないことが多い為、濁っている事もあります。しかし、これが旨味。すでに虜になっている人はこの濁りを喜びます。ノンフィルターのものを飲む時、飲む前にはできるだけ長い時間立てて置いておくことをお薦めします。一昼夜で沈められるものが多いですが、中には数日を擁するもの、また濁った状態で楽しんで欲しいという特殊な造りのものなど、いろいろあります。

【味わいや香り】
 自然且つゆっくりと体に吸収されていく感じで、余韻に感じられるデリケートなバランスをもつ純粋な果実味、まったく人工的な所の無い香りと甘さは舌を敏感にさせ、奥行きのある自然な旨みを感じさせてくれます。何度か経験すると忘れられないものとなるでしょう。

【二日酔い】
 「良いお酒というものは二日酔いにならない」という事はお酒を飲む方なら感じているのではないでしょうか?科学的にはまだ立証されていませんが「ビオワインは量を飲んでも翌日頭が痛くならない!」と、ワインファンからプロの方まで力説する方が多いですね。頭が痛くなると「飲みすぎた」と思ってしまいがちですが、これは葡萄の中(他のお酒であればその原材料)に残った残農薬ではないかと研究されているのです。実際、フランスでは、頭が痛くならないという理由でビオワインをわざわざ買い求める人も増えているようです。

【長い寿命】
 醸造過程で酸化防止剤がほとんど使われていないため、酸化しやすく、もちが悪いと判断されがちですが、ビオワイン最大の不思議がここにあります。コルク栓を抜いても冷蔵庫で保管すれば、味わいはほとんど変わらず1週間は軽くもつのです。なかには1カ月以上たってもふくよかさを失わないワインもあるほど。ゆっくりワインを楽しむ人達にとっては嬉しい限りです。(ただし全てではありませんが・・・)
 ブルゴーニュやボルドーのトップ生産者でなければ、いずれも比較的値段が安く、レベルは格段に高いものばかり。ラ・ヴィネではそんな楽しいビオワインをたくさんご用意しております。是非試してみてください。
ジュランソンの生産者、クロ・ウルラ ※当店で最も人気が高く"キュヴェ・マリー"で有名なジュランソンの生産者、クロ・ウルラ。真ん中の女性がマリーさん。ちなみに右は店長の阿保です。2007年からビオディナミで葡萄を育てているとの事。これからも楽しみです。
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